こんにちわ。
施設基準管理士、カジハヤトです。
令和8年3月5日、2026年度(令和8年度)診療報酬改定の告示・通知が正式発出されました。
精神医療分野では複数の大きな変更がありますが、今回は
- 「精神科リエゾンチーム加算(A230-4)の見直し」
を解説します。
一言でいえば——
「患者区分が新設され、点数が大幅に引き上げられた。種類によっては最大1,000点!」
ただし点数だけでなく、算定の「実態」が厳しく問われる改定でもあります。詳しく見ていきましょう。
本記事は2026年3月発出の告示に基づき作成しています。
実際の算定に際しては、最新の通知・解釈通知もご確認ください。
目次
【2026年度(令和8年度)診療報酬改定】精神科リエゾンチーム加算の見直し完全解説|区分新設&週2回算定で最大1,000点へ!

まず基本確認:精神科リエゾンチーム加算とは?
精神科リエゾンチーム加算(A230-4)とは、一般病床(内科・外科などの身体科)に入院している患者さんのうち、
精神症状を抱えている患者さんに対して、精神科の専門多職種チームが介入する体制を評価する
加算です。
対象となる患者さん(改定後も同様):
- せん妄や抑うつを有する患者
- 精神疾患を有する患者
- 自殺企図で入院した患者
チームは精神科医・看護師・精神保健福祉士・薬剤師・作業療法士・公認心理師などの多職種で構成されます。
精神病床での加算ではないんですよ。
改定前後の点数比較:ここが今回の核心!
▼ 改定前(令和6年度まで)
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 精神科リエゾンチーム加算(週1回) | 200点(一律) |
改定前は患者の状態や疾患にかかわらず、一律200点・週1回のみの算定でした。
▼ 改定後(令和8年度・2026年6月1日施行)
| 区分 | 算定 | 点数 |
|---|---|---|
| 区分1:認知症又はせん妄の場合 | 週1回 | 300点 |
| 区分2:それ以外の場合 | 週1回 | 700点 |
| 複数回診療加算(区分2のみ) | 週2回以上の場合に加算 | +300点 |
| 区分2・週2回算定時の合計 | 最大 1,000点 |
変更ポイント①:患者を「2区分」に分けて評価
今回の最大の変更点は、患者を2つの区分に分けて評価するようになったことです。
区分1(認知症又はせん妄):300点
これまでせん妄・認知症患者は精神科リエゾンチームの主な介入対象でした。
改定後も引き続き評価されますが、点数は200点→300点へ引き上げ(1.5倍)。
区分2(それ以外の精神疾患等):700点
ここが今回の大きなポイントです。
抑うつ・精神疾患・自殺企図など、認知症・せん妄以外の精神疾患を持つ患者への介入が、200点→700点(3.5倍!) と大幅に引き上げられました。
なぜ区分2の方が高いのか?
厚生労働省の改定の趣旨はこう説明されています。
「様々な精神疾患に対応できる精神科リエゾンチームの専門性を評価する観点から、精神科リエゾンチーム加算の要件及び評価を見直す。」 日本精神科看護協会 精神科看護管理ニュース
これまで精神科リエゾンチームは「認知症・せん妄対応チーム」のイメージが強くありました。しかし国が今回発したメッセージは明確です——
- 精神科リエゾンチームは、より幅広い精神疾患に専門的に対応するチームとして位置づけを強化する
認知症・せん妄以外の複雑な精神疾患への対応には、より高度な専門性が求められることが、点数の差に反映されています。
変更ポイント②:週2回算定(複数回診療加算)が新設!
もうひとつの大きな変更が、「複数回診療加算」の新設です。
区分2(それ以外の場合)の患者に対して、週2回以上精神科リエゾンチームによる診療を行った場合、週1回に限り+300点を加算できるようになりました。
「2について、週2回以上精神科リエゾンチームによる診療を行った場合は、複数回診療加算として、週1回に限り300点を加算する。」 (告示 p.634)
⚠️ 重要:複数回診療加算は「区分2のみ」が対象
区分1(認知症・せん妄)の患者には複数回診療加算は算定できません。
| 区分 | 週1回 | 週2回(複数回加算) | 最大合計 |
|---|---|---|---|
| 区分1(認知症・せん妄) | 300点 | 算定不可 | 300点 |
| 区分2(それ以外) | 700点 | +300点 | 1,000点 |
状態が不安定で「週1回では足りない…」と感じながら介入していた患者さんへの対応が、ようやく適切に評価されるようになりました。
注意:認知症ケア加算1との併算定は不可
算定要件として明記されている重要な点です。
「ただし、区分番号A247に掲げる認知症ケア加算1は別に算定できない。」
認知症ケア加算1と精神科リエゾンチーム加算は、同日・同患者への重複算定ができません。どちらを算定するか、患者ごとに適切に管理する体制が必要です。
施設基準・チーム構成員の要件
精神科リエゾンチームとして届出するためのチーム構成要件は以下のとおりです(3名以上の多職種チームが必要)。
| 職種 | 要件 |
|---|---|
| 精神科医 | 5年以上の経験を有する専任の常勤医師 |
| 看護師 | 精神科等での3年以上の経験+所定の研修修了の常勤看護師 |
| 精神保健福祉士・作業療法士・薬剤師・公認心理師のいずれか | 精神科病院等での精神医療に3年以上の経験を有する常勤職員 |
🔑 施設基準管理士からの実務アドバイス
点数が大幅に上がった分、厚生局の適時調査などでの「実態確認」も厳しくなります。専門家も指摘しているとおり、今回の改定のキーワードはこの一言です。
「実際に介入しているかどうかが重要」
形だけのチームでは算定根拠として認められません。
以下の実務チェックリストを確認してください。
今すぐ確認すべき実務チェックリスト
【届出関係】
- 現在の精神科リエゾンチーム加算の届出状況を確認する
- 令和8年6月1日の施行に合わせた届出変更・新規届出の準備を進める
- 未届出の病院はチーム構成員・人員配置要件を今から確認する
【算定管理関係】
- 算定する患者を「区分1(認知症・せん妄)」と「区分2(それ以外)」に区別して記録・管理できるルールを整備する
- 区分2の患者で週2回介入した場合は「複数回診療加算」の算定根拠(臨床的必要性)をカルテに明記する
- 認知症ケア加算1との重複算定チェック体制を整備する
【活動記録関係】
- チームによる介入記録・アセスメント内容をカルテに適切に記録する
- チームカンファレンスの開催記録・出席者を残す
- 担当科との連携記録(相談対応記録等)を整備する
まとめ:令和8年度 精神科リエゾンチーム加算 改定ポイント早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分1(認知症・せん妄) | 週1回 300点(改定前200点→1.5倍) |
| 区分2(それ以外の精神疾患) | 週1回 700点(改定前200点→3.5倍) |
| 複数回診療加算 | 区分2のみ・週2回以上の場合 +300点 |
| 区分2・週2回時の最大算定 | 1,000点 |
| 認知症ケア加算1との関係 | 併算定不可 |
| 施行日 | 令和8年(2026年)6月1日 |
| 押さえるポイント | 実際の介入実績・身体科との連携体制が審査対象 |
今回の改定は、精神科リエゾンチームの役割を「認知症・せん妄対応」から「幅広い精神疾患への専門チーム」へと大きく格上げした、非常に重要な変更です。
特に、これまで200点という低評価ゆえに「人は配置しているが活動が十分でない」という病院にとっては、体制を見直す絶好のチャンスです。
一方で「点数が上がったから取ろう」という安易な算定は危険です。
実際の活動実績と記録の整備を、届出と同時に必ず進めてください。
今回はここまでです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。






