こんにちは。
施設基準管理士のカジハヤトです。
今回は特定疾患治療管理料の23、がん患者指導管理料(ロ)の施設基準・診療報酬について説明しようと思います。
算定にあたっては必要な診療報酬、施設基準の告示・通知を読み込む必要があります。
この記事では原文(告示・通知)の難しい表現を私なりに読みやすく、かみ砕いて説明しています。
この記事はこんな人にオススメ
- がん患者指導管理料(ロ)の算定を検討されている方
- 施設基準管理士資格試験の受験勉強をされる方
- 単純に診療報酬、施設基準の勉強をされたい方
ぜひ参考にしてみてください
実際に届け出、算定する場合は、診療報酬、施設基準の告示・通知をよく確認してくださいね。
要チェックですよ!
目次
特定疾患治療管理料の23|がん患者指導管理料(ロ)ついて診療報酬・施設基準(告示・通知)を読みやすく、かみ砕きました
概要
がん患者指導管理料はがん患者さんに治療の説明、相談を行った場合の評価です。
イ、ロ、ハ、ニと4つに項目があり、それぞれ
・(イ)治療方針等について話し合い、その内容を文書等により提供した場合
・(ロ)心理的不安を軽減するために行った面接
・(ハ)投薬、または注射の前後にその必要性等について文書により説明を行った場合
・(ニ)BRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とするものを実施する前にその必要性及び診療方針等について文書により説明を行った場合
の評価になります。
本記事ではがん患者指導管理料(ロ)心理的不安を軽減するために行った面接について説明します。
診療報酬|告示
23 がん患者指導管理料
ロ 医師、看護師又は公認心理師が心理的不安を軽減するための面接を行った場合 200点注2 ロについては、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、がんと診断された患者であって継続して治療を行うものに対して、当該患者の同意を得て、当該保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示に基づき看護師若しくは公認心理師が、患者の心理的不安を軽減するための面接を行った場合に、患者1人につき6回に限り算定する。
注5 ロについて、区分番号A226-2に掲げる緩和ケア診療加算、区分番号B001の18に掲げる小児悪性腫瘍患者指導管理料、区分番号B001の22に掲げるがん性疼とう痛緩和指導管理料又は区分番号B001の24に掲げる外来緩和ケア管理料は、別に算定できない。
注7 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、がん患者指導管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、イ、ロ、ハ又はニの所定点数に代えて、それぞれ435点、174点、174点又は261点を算定する。
引用:診療報酬の算定方法の一部を改正する件 令和4年 厚生労働省告示第54号
では、読みやすくかみ砕いていきます。
●対象のがん患者さんはがん患者さんで、継続して治療を行う必要のある方です。
●患者さんの同意を得て行ってください。
●管理を行う職種は医師、看護師または公認心理師です。
●がん患者さんの心理的不安を軽減するための面接を行った場合 に200点算定できます。
●算定できるのは患者さん1人につき6回に限ります。
●この管理料を算定するなら、以下の項目は算定してはいけません。
・緩和ケア診療加算(A226-2)
・小児悪性腫瘍患者指導管理料(B001の18)
・がん性疼とう痛緩和指導管理料(B001の22)
・外来緩和ケア管理料(B001の24)
●情報通信機器を用いて行った場合は174点ですよ。
26点の減点となります。
診療報酬|通知
23 がん患者指導管理料
(2) がん患者指導管理料ロ
ア 悪性腫瘍と診断された患者に対して、患者の心理状態に十分配慮された環境で、がん診療の経験を有する医師、がん患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師又はがん患者への心理支援に従事した経験を有する専任の公認心理師が適宜必要に応じてその他の職種と共同して、身体症状及び精神症状の評価及び対応、病状、診療方針、診療計画、外来での化学療法の実施方法、日常生活での注意点等の説明、患者の必要とする情報の提供、意思決定支援、他部門との連絡及び調整等、患者の心理的不安を軽減するための指導を実施した場合に算定する。なお、患者の理解に資するため、必要に応じて文書を交付するなど、分かりやすく説明するよう努めること。
イ がん患者指導管理料ロの算定対象となる患者は、がんと診断された患者であって継続して治療を行う者のうち、STAS-J(STAS日本語版)で2以上の項目が2項目以上該当する者、又はDCS(Dicisional Conflict Scale)40点以上のものであること。なお、STAS-Jについては日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団(以下「ホスピス財団」という。)の「STAS-J(STAS日本語版)スコアリングマニュアル第3版」(ホスピス財団ホームページに掲載)に沿って評価を行うこと。
ウ 看護師又は公認心理師が実施した場合は、アに加えて、指導を行った看護師又は公認心理師が、当該患者の診療を担当する医師に対して、患者の状態、指導内容等について情報提供等を行わなければならない。
エ 指導内容等の要点を診療録又は看護記録に記載すること。
オ 患者の十分な理解が得られない場合又は患者の意思が確認できない場合は、算定の対象とならない。また患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。
カ 「注7」に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。引用:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和4年3月4日 保医発0304第1号
では、読みやすくかみ砕いていきます。
●対象患者さんは悪性腫瘍と診断された患者さんですよ。
●患者の心理状態に十分配慮された環境で行ってください。
●行うのは以下の職種です。
・医師(がん診療の経験を有する)
・専任の看護師(がん患者の看護に従事した経験を有する)
・専任の公認心理師(がん患者への心理支援に従事した経験を有する)
●適宜必要に応じてその他の職種と共同してくださいね。
●具体的には以下のようなことを実施したときに算定できます。
・身体症状及び精神症状の評価及び対応
・病状、診療方針、診療計画、外来での化学療法の実施方法、日常生活での注意点等の説明
・患者の必要とする情報の提供
・意思決定支援
・他部門との連絡及び調整等
・患者の心理的不安を軽減するための指導
●患者が理解しやすいよう、必要に応じて文書を交付するなど、分かりやすく説明するよう努めてください。
●さらに看護師又は公認心理師が実施した場合は、これらに指導を行った看護師又は公認心理師が、当該患者の診療を担当する医師に対して、患者の状態、指導内容等について情報提供等を行わなければなりません。
●対象患者さんについてです。
●がんと診断されて、継続して治療を行う患者さんです。
●さらに、STAS-J(STAS日本語版)で2以上の項目が2項目以上該当する患者さんです。
●STAS-Jについては日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団(以下「ホスピス財団」という。)の「STAS-J(STAS日本語版)スコアリングマニュアル第3版」(ホスピス財団ホームページに掲載)に沿って評価を行ってください。
●また、DCS(Dicisional Conflict Scale)40点以上の患者さんです。
●指導内容等の要点を診療録又は看護記録に記載してください。
●患者の十分な理解が得られない場合、または患者の意思が確認できない場合は、算定の対象となりません。
●また患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できません。
●「注7」に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定してください。
26点の減点となってしまう項目です。
施設基準|告示
がん患者指導管理料の施設基準等
イがん患者指導管理料のイの施設基準
①がん患者に対して指導管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。
②当該保険医療機関において、適切な意思決定支援に関する指針を定めていること。ロがん患者指導管理料のロからニまでの施設基準
イの①を満たすものであること。ニがん患者指導管理料の注7に規定する施設基準
情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。引用:特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件 令和4年 厚生労働省告示第56号
それでは、読みやすくかみ砕いていきます。
●がん患者指導管理料の施設基準等です。
●がん患者指導管理料(ロ)に関しては以下です。
・がん患者に対して指導管理を行うにつき十分な体制をしてください。
・医療機関において、適切な意思決定支援に関する指針を定めてください。
●注7に関しては情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備してください。
施設基準|通知
2 がん患者指導管理料ロに関する施設基準
(1) 緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の看護師がそれぞれ1名以上配置されていること。
(2) (1)に掲げる医師は、1の(2)を満たすこと。
(3) (1)に掲げる看護師は、1の(3)を満たすこと。
(4) 当該管理に従事する公認心理師については、1の(2)のアに掲げる研修を修了した者であること。
(5) 患者の希望に応じて、患者の心理状況及びプライバシーに十分配慮した構造の個室を使用できるように備えていること。
(6) 平成 31 年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。
ア 平成 31 年3月 31 日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者
イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者5 がん患者指導管理料の注7に関する施設基準
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添1の第1の1
に掲げる情報通信機器を用いた診療の届出を行っていること。
6 届出に関する事項
(1) がん患者指導管理料の施設基準に係る届出は、別添2の様式5の3を用いること。
(2) がん患者指導管理料の注7に関する施設基準については、情報通信機器を用いた診療の届
出を行っていればよく、がん患者指導管理料の注7として特に地方厚生(支)局長に対して、
届出を行う必要はないこと。引用:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知) 令和4年3月4日 保医発0304第3号
「2 がん患者指導管理料ロに関する施設基準」を説明するのに、「1 がん患者指導管理料イに関する施設基準」の内容も一部確認する必要があります。
以下、その部分の引用です。
1 がん患者指導管理料イに関する施設基準
(1) 緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の看護師がそれぞれ1名以上配置されていること。なお、診断結果及び治療方針の説明等を行う際には両者が同席して行うこと。
(2) (1)に掲げる医師は、次に掲げるいずれかの研修を修了した者であること。
ア 「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠した緩和ケア研修会(平成 29 年度までに開催したものであって、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む。)
イ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等 (3) (1)に掲げる看護師は、5年以上がん患者の看護に従事した経験を有し、がん患者へのカウンセリング等に係る適切な研修を修了した者であること。なお、ここでいうがん患者へのカウンセリング等に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいう。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(600 時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものに限る。)。
イ がん看護又はがん看護関連領域における専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
ウ 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(イ) がん看護又はがん看護関連領域に必要な看護理論及び医療制度等の概要
(ロ) 臨床倫理(告知、意思決定、インフォームド・コンセントにおける看護師の役割)
(ハ) がん看護又はがん看護関連領域に関するアセスメントと看護実践
(ニ) がん看護又はがん看護関連領域の患者及び家族の心理過程
(ホ) セルフケアへの支援及び家族支援の方法
(ヘ) がん患者のための医療機関における組織的取組とチームアプローチ
(ト) がん看護又はがん看護関連領域におけるストレスマネジメント
(チ) コンサルテーション方法
エ 実習により、事例に基づくアセスメントとがん看護又はがん看護関連領域に必要な看護実践 引用:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知) 令和4年3月4日 保医発0304第3号
では、読みやすくかみ砕いていきます。
●緩和ケアの研修を修了した医師及び専任の看護師がそれぞれ1名以上配置されている必要があります。
●上記「緩和ケアの研修」を修了した医師の研修は以下です
・「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠した緩和ケア研修会(平成 29 年度までに開催したものであって、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む。)
・ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等
●上記専任の看護師に関しては5年以上がん患者の看護に従事した経験を有し、がん患者へのカウンセリング等に係る適切な研修を修了した者である必要があります。
●なお、ここでいうがん患者へのカウンセリング等に係る適切な研修とは、次の事項に該当する研修のことをいいます。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(600 時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものに限る。)。
イ がん看護又はがん看護関連領域における専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
ウ 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(ハ) がん看護又はがん看護関連領域に関するアセスメントと看護実践
(ニ) がん看護又はがん看護関連領域の患者及び家族の心理過程
(ホ) セルフケアへの支援及び家族支援の方法
(ヘ) がん患者のための医療機関における組織的取組とチームアプローチ
(ト) がん看護又はがん看護関連領域におけるストレスマネジメント
(チ) コンサルテーション方法
エ 実習により、事例に基づくアセスメントとがん看護又はがん看護関連領域に必要な看護実践
●この管理に従事する公認心理師については、次の研修を修了した者であること。
ア「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠した緩和ケア研修会(平成 29 年度までに開催したものであって、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む。)
●患者の希望に応じて、患者の心理状況及びプライバシーに十分配慮した構造の個室を使用できるように備えておいてください。
●平成 31 年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなします。
・イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者
●届出に関してです。
●届出は、別添2の様式5の3を用いてください。
●注7に関する施設基準については、情報通信機器を用いた診療の届出を行っていればいいです。
●注7として特に、届出を行う必要はありません。
まとめ
がん患者指導管理料(ロ)について説明しました。
以上の要件を満たしたうえで、
・がん患者指導管理料 200点
が算定できます。
診療報酬改定2020で
◆臨床心理師の参加
◆情報通信機器を用いて行う
ができるようになりました。
ただし、臨床心理師は施設基準の人員要件には含まれないようですので注意が必要です。
最後までお読みいただきありがとうございました。