こんにちわ。
施設基準管理士、カジハヤトです。
急速な少子高齢化に伴い、生産年齢人口の減少が医療現場に重くのしかかっています。
特に看護現場における人手不足は深刻で、業務負担の軽減と効率化は待ったなしの課題となっています。
地方はもっと深刻!!
こうした背景を受け、2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、看護業務の効率化を強力に推進するための新たな制度が新設されました。
それが、
ICT等の活用による看護要員の配置基準の柔軟化
です。
今回の改定は、単なる「機械化」の推奨ではありません。
「テクノロジーが人の代わりを担える部分は任せ、専門職は患者ケアに集中する」という、これからの病院運営のスタンダードを示す重要な転換点と言えるでしょう。
今回は「ICT等の活用による看護要員の配置基準の柔軟化」について解説しようと思います。
この記事は看護師不足で困ってる医療機関の職員におすすめの記事です。
本記事は2026年2月13日時点の答申資料に基づき作成しています。
最終的な点数や算定要件は、厚生労働省より発出される告示・通知をご確認ください。
目次
2026年度診療報酬改定|ICT等の活用による看護業務効率化と配置基準の柔軟化について解説

制度の概要:配置基準の柔軟化とは?
新設された制度は、
- 一定の要件を満たすICT機器等を組織的に活用している病棟において、看護要員の配置基準を緩和する
というものです。
見守り・記録・情報共有の3分野でICT機器等を活用し、適切な業務効率化が図られている場合、入院基本料等で規定されている「看護職員数」および「看護師比率」が基準の9割以上であれば、所定点数を算定できるようになります。
例えば、本来「7対1」の配置が必要な病棟であっても、ICT活用によって業務負担が軽減されていれば、実質的に1割少ない人員配置でも「基準を満たしている」とみなされる画期的な仕組みです。
その他の施設基準(平均在院日数や重症度、医療・看護必要度など)は、従来通り全て満たす必要があります。
緩和されるのはあくまで「看護配置の数と比率」のみです。
対象となる病棟(入院料)
この柔軟化措置は、急性期から慢性期、専門病棟まで幅広い入院料が対象となっています。
主な対象病棟は以下の通りです。
| 対象となる主な入院料 | |
|---|---|
| 一般病棟 | ・急性期一般入院料1〜6 ・急性期病院A・B一般入院料 ・7対1入院基本料 ・10対1入院基本料 ・地域包括医療病棟入院料1・2 |
| 専門・特定病棟 | ・小児入院医療管理料1〜4 ・特殊疾患病棟入院料1・2 ・緩和ケア病棟入院料1・2 |
精神科は対象外か?
施設基準の詳細:必須となる3つのICT機器
配置基準の柔軟化を受けるためには、「見守り」「記録」「情報共有」の3つの領域すべてにおいて、業務効率化に資するICT機器等を導入し、病棟全体で広く使用していることが要件となります。
①見守り支援
要件:病室のカメラやベッドセンサー等により、看護職員が遠隔で複数の患者の状態(行動・体動等)を把握できること。
- 訪室回数の削減
- 転倒・転落の予防
- 身体的拘束の最小化
※患者または家族への説明と同意が必須です。
②看護記録効率化
要件:音声入力やAIによるサマリー自動生成など、記録作成時間を短縮する機器。
- データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するもの
- 業務時間外の記録作成時間の減少
③情報共有効率化
要件:インカムやスマートフォン端末など、対面せずに多人数でリアルタイムに情報共有できる機器。
- ハンズフリー通話
- 報告・連絡に伴う移動や待機時間の削減
追加の施設基準要件
ICT機器を導入するだけでなく、実際に「業務負担が軽減されていること」を担保するための要件が設定されています。
- 超過勤務時間の管理
導入病棟の看護要員(常勤)の1人1月あたりの超過勤務時間が平均10時間以下であること。
かつ、非常勤を含めて導入前と比較して増加傾向にないこと。
※タイムカードやPCログ等による客観的な把握が必要です。
- 年1回の評価と周知
業務内容、業務量、業務時間、負担感等について年1回程度、定量的または定性的な評価を実施すること。
結果は職員に周知し、衛生委員会等で確認・対策を講じる必要があります。
- 届出と調査協力
毎年8月にICT機器の導入状況や超過勤務状況についての届出が必要です。
また、厚労省の随時調査への参加も求められます。
- 情報セキュリティ
医療情報システムと連動する場合は、厚労省・総務省・経産省の各種セキュリティガイドラインに準拠する必要があります。
これ、新たにSEなど専門職を雇わなければならないかも・・・。
まとめ
2026年度改定におけるICT活用による配置基準の柔軟化は、人手不足対策として有効な選択肢です。
しかし目的はあくまで看護業務の効率化と質の維持の両立にあります。機器を導入するだけでは不十分で、運用体制の整備が不可欠です。
場合によっては、トラブル対応やセキュリティ管理を担う専門職SEの採用が必要となる可能性もあります。
ICTは人を減らす施策ではなく、人員配置を再設計する取り組みなのです。
ICTは魔法の杖ではない。運用設計こそが成否を分ける。
今回はここまでです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。






