こんにちは。
施設基準管理士のカジハヤトです。
今回は入院基本料等加算、精神科身体合併症管理加算の施設基準・診療報酬について説明しようと思います。
算定にあたっては必要な診療報酬、施設基準の告示・通知を読み込む必要があります。
この記事では原文(告示・通知)の難しい表現を私なりに読みやすく、かみ砕いて説明しています。
この記事はこんな人にオススメ
- 精神科身体合併症管理加算の算定を検討されている方
- 施設基準管理士資格試験の受験勉強をされる方
- 単純に診療報酬、施設基準の勉強をされたい方
ぜひ参考にしてみてください
実際に届け出、算定する場合は、診療報酬、施設基準の告示・通知をよく確認してくださいね。
目次
入院基本料等加算|精神科身体合併症管理加算ついて診療報酬・施設基準(告示・通知)を読みやすく、かみ砕きました
概要
精神病棟において、精神疾患以外の合併症を治療した場合に算定できます。患者さんの高齢化等による病態の変化を踏まえた評価です。
診療報酬|告示
A230-3 精神科身体合併症管理加算(1日につき)
1 7日以内 450点
2 8日以上15日以内 300点
注 精神科を標榜する病院であって別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める身体合併症を有する精神障害者である患者に対して必要な治療を行った場合に、当該患者(第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)又は第3節の特定入院料のうち、精神科身体合併症管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、当該疾患の治療開始日から起算して15日を限度として、当該患者の治療期間に応じ、所定点数に加算する。診療報酬の算定方法の一部を改正する件 令和4年 厚生労働省告示第54号
では、読みやすく砕いていきます。
●算定点数1:7日以内は1日450点です。
●算定点数2:8日以上15日以内は1日300点です。
●精神科を標ぼうする病院(精神科病院)が対象です。
●算定には地方厚生局長等に施設基準の届け出をする必要があります。
●対象患者さん精神障害者である患者さんです。
●かつ、身体合併症(厚生労働大臣が定める)を有する患者さんです。
●この患者さんに必要な治療を行った場合に算定できます。
●対象の入院料は
・第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)
・第3節の特定入院料のうち、精神科身体合併症管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る
です。
●算定期間は当該疾患の治療開始日から起算して15日を限度として、当該患者の治療期間に応じ、所定点数に加算する。
診療報酬|通知
A230-3 精神科身体合併症管理加算
(1) 精神科身体合併症管理加算は、精神科を標榜する保険医療機関であって、精神科以外の診療科の医療体制との連携が取られている病棟において、精神病床に入院している身体合併症を併発した精神疾患患者に対して、精神疾患、身体疾患両方について精神科を担当する医師と内科又は外科を担当する医師が協力し、治療が計画的に提供されることを評価したものである。
(2) 当該加算は、当該疾患の治療開始日から 15 日間に限り算定できるものであり、同一月において同一疾患に対して1回に限り算定できる。また、同一月に複数の身体疾患を発症した場合には、それぞれの疾患について、それぞれの疾患の治療開始日から 15 日間に限り当該加算を算定することが可能であるが、この場合であっても、同一月内に当該加算を算定できる期間は 20 日間までとする。なお、複数の身体疾患を同時期に発症した場合であって、当該加算を算定する日が重複する日は、いずれか1つの疾患に係る加算を算定する。
(3) 精神科身体合併症管理加算の注に規定する厚生労働大臣が定める身体合併症のうち、肺炎については、抗生物質又はステロイドの投与を要する状態、意識障害については、意識レベルにかかわらず、規定された疾患や手術後によるせん妄状態に準ずる状態である。また、手術又は直達・介達牽引を要する骨折については、骨折の危険性が高い骨粗鬆症であって骨粗鬆症治療剤の注射を要する状態を含むものとする。
(4) 当該加算を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、別に厚生労働大臣が定める身
体合併症の患者のいずれに該当するかを記載する。診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 令和4年3月4日 保医発0304第1号
●精神科を標ぼうする病院(精神科病院)が対象です。
●病棟は精神科以外の診療科の医療体制との連携が取られている必要があります。
●対象の患者さんは入院(精神病床)している身体合併症を併発した精神疾患患者さんです。
●精神疾患、身体疾患両方について精神科を担当する医師と内科又は外科を担当する医師が協力して治療する必要があります。
●その治療が計画的に提供されることを評価したものです。
●この加算の算定期限は疾患の治療開始日から 15 日間です。
●また、同一月において同一疾患に対して1回に限りです。
●同一月に複数の身体疾患を発症した場合には、それぞれの疾患について、それぞれの疾患の治療開始日から 15 日間に限り当該加算を算定することが可能です。
●ただし、同一月内に当該加算を算定できる期間は 20 日間までとします。
●なお、複数の身体疾患を同時期に発症した場合は
●当該加算を算定する日が重複する日は、いずれか1つの疾患に係る加算を算定してください。
●身体合併症(厚生労働大臣が定める)のうち次の2つは以下の状態とします。
・肺炎:抗生物質又はステロイドの投与を要する状態
・意識障害:意識レベルにかかわらず、規定された疾患や手術後によるせん妄状態に準ずる状態
●また手術又は直達・介達牽引を要する骨折については骨折の危険性が高い骨粗鬆症であって骨粗鬆症治療剤の注射を要する状態を含むものとします。
●算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、別に厚生労働大臣が定める身体合併症の患者のいずれに該当するかを記載してくださいね。
施設基準|告示
二十五の三精神科身体合併症管理加算の施設基準等
(1) 精神科身体合併症管理加算の施設基準
イ 精神科を標榜する保険医療機関である病院であること。
ロ 当該病棟に専任の内科又は外科の医師が配置されていること。
ハ 精神障害者であって身体合併症を有する患者の治療が行えるよう、精神科以外の診療科の医療体制との連携が取られている病棟であること。
(2) 精神科身体合併症管理加算の注に規定する厚生労働大臣が定める身体合併症を有する患者
別表第七の二に掲げる身体合併症を有する患者引用:基本診療料の施設基準等の一部を改正する件 令和4年 厚生労働省告示第55号
それでは、わかりやすく、かみ砕いていきます。
●精神科を標ぼうする病院(精神科病院)ですよ。
●算定対象の病棟に専任の内科、または外科の医師を配置してください。
●対象病棟は精神障害患者さんの身体合併症を治療が行う必要があります。
●そのために、精神科以外の診療科の医療体制との連携を取ってくださいね。
●厚生労働大臣が定める身体合併症を有する患者さんとは別表第七の二に掲げる身体合併症を有する患者さんですよ。
別表第七の二精神科身体合併症管理加算の対象患者
・心疾患(New York Heart Association の心機能分類のⅢ度、Ⅳ度相当の心不全、虚血性心疾患又はモニター監視を必要とする不整脈)の患者
・手術又は直達・介達牽引を要する骨折の患者
・脊髄損傷の患者
・重篤な内分泌・代謝性疾患(インスリン投与を要する糖尿病、専門医の診療を要する内分泌疾患又は肝硬変に伴う高アンモニア血症)の患者
・重篤な栄養障害(Body Mass Index15未満の摂食障害)の患者
・意識障害(急性薬物中毒、アルコール精神障害、電解質異常、代謝性疾患によるせん妄等)の患者
・全身感染症(結核、後天性免疫不全症候群、梅毒1期、2期又は敗血症)の患者
・中枢神経系の感染症(髄膜炎、脳炎等)の患者
・急性腹症(消化管出血、イレウス等)の患者
・劇症肝炎又は重症急性膵炎の患者
・悪性症候群又は横紋筋融解症の患者
・広範囲(半肢以上)熱傷の患者
・手術、化学療法若しくは放射線療法を要する状態又は末期の悪性腫瘍の患者
・透析導入時の患者
・重篤な血液疾患(ヘモグロビン7g \dl 以下の貧血又は頻回に輸血を要する状態)の患者
・急性かつ重篤な腎疾患(急性腎不全、ネフローゼ症候群又は糸球体腎炎)の患者
・手術室での手術を必要とする状態の患者
・膠原病(専門医による管理を必要とする状態に限る。)の患者
・妊産婦である患者
・難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号)第五条第一項に規定する指定難病の患者(同法第七条第四項に規定する医療受給者証を交付されているもの(同条第一項各号に規定する特定医療費の支給認定に係る基準を満たすものとして診断を受けたものを含む。)に限る。)
施設基準|通知
第 16 の3 精神科身体合併症管理加算
1 精神科身体合併症管理加算の施設基準
(1) 精神科を標榜する病院であって、当該病棟に専任の内科又は外科の医師が1名以上配置されていること。
(2) 区分番号「A103」精神病棟入院基本料(10 対1入院基本料、13 対1入院基本料及び 15 対1入院基本料に限る。)、区分番号「A104」特定機能病院入院基本料(精神病棟である7対1入院基本料、10 対1入院基本料、13 対1入院基本料及び 15 対1入院基本料に限る。)、区分番号「A311」精神科救急急性期医療入院料、区分番号「A311-2」精神科急性期治療病棟入院料、「A311-3」精神科救急・合併症入院料及び区分番号「A314」認知症治療病棟入院料のいずれかを算定している病棟であること。
(3) 必要に応じて患者の受入れが可能な精神科以外の診療科を有する医療体制との連携(他の保険医療機関を含む。)が確保されていること。
2 届出に関する事項
精神科身体合併症管理加算の施設基準に係る届出は、別添7の様式 31 を用いること。引用:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知) 令和4年3月4日 保医発0304第2号
では、読みやすく、かみ砕いていきます。
●精神科を標ぼうする病院です。(精神科病院)
●対象の病棟には内科医師(専任)、もしくは外科医師(専任)が1名配置されている必要があります。
●精神科身体合併症管理加算の対象入院料等は以下です。
・精神病棟入院基本料(10 対1入院基本料、13 対1入院基本料及び 15 対1入院基本料に限る。)
・特定機能病院入院基本料(精神病棟である7対1入院基本料、10 対1入院基本料、13 対1入院基本料及び 15 対1入院基本料に限る。)
・精神科救急急性期医療入院料
・精神科救急・合併症入院料
・認知症治療病棟入院料
●必要に応じて患者さんの受入れが可能な精神科以外の診療科を有する医療体制との連携が確保されていること。
●それは他の保険医療機関を含みますよ。
●施設基準に係る届出は、別添7の様式 31 を用いてください。
まとめ
精神科身体合併症管理加算について説明しました。
条件を満たしたうえで
●算定点数1:7日以内は1日450点です。
●算定点数2:8日以上15日以内は1日300点です。
の加点となります。
患者さん高齢化により、精神科病院入院中に身体合併症を併発される患者さんは多いと思います。
内科医が勤務している精神科病院なら算定を検討されてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。